2010年7月30日金曜日

風は霞む

  

終わりの言葉を知りたい
長く続いているこの夜で
最後の言葉となるべきものを

もう、何も言うなと
口を塞ぐように風は霞む

あえてまだ
光りの予感などなかった
不都合に星を帯びた雲が
昨日を鈍く掴むばかりに
道筋をなしている

人間は死して
夜空を照らす星となるのなら
何の輝きも持ち得ないこの魂も
いつかの夜空で輝くだろうか

もう、何も言うなと
口を塞ぐように風は霞む

こんなにも愚かしい
幾夜もの魂を抱いて
この世に存在していいものか、と
そんな審判の下で
どうか、ふるいにかけて欲しい

もう、何も言うなと
口を塞ぐように風は霞む

もうすぐ不毛な時を
照らしていた月は
不満気にも落ちていくだろう

もう、何も言うなと
口を塞ぐように風は霞む

はじまるはずのない朝が
また無情に始まる

もう、何も言うなと
もう、何も言うなと
口を塞ぐように
風は霞む





  

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