虚ろげな空
上昇気流に舞い上がるシャボン玉が
ねじれた風の糾弾によって
割れてしまった一瞬の波紋は
軽い痺れの余韻を残した
この世の全ては
わずかな雲の切れ端に過ぎないという事を
エミルサラーの絵本が教えてくれる
しかし、何とも惨めである
相も変わらないんだ
生まれてきた事を憎んでいる
そんな、つまらない想いでしか
悲しみをぶつける場所が見当たらない
だが、それも
自慰行為のあとのように
過ぎ去ればまた、満ち足りない
虚ろげな空に培養された沢山の雲が
泡沫のように流れていくのを
僕は些細な情景にさえも媚びるように
侘びしく眺めている
何かを心に残してくれないものか、と
まるで平常心ではいられなかった
午後の事
嫌いな春風に当たりながら
空を見上げていたら
少し笑えてきたよ
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