2010年9月3日金曜日

落書き

  

古びたノートの切れ端に
小さい頃描いた落書きが残っている
不格好にしっぽを丸めた
猫のイラストが笑っている

すでにそれが
過ぎた時間に消え
人生で何の意味も持たないことを
僕は知っているが
しかし何故だか、新鮮であり
輝きに満ちている

かつて見た夢を思い出す
まだ夜と朝の間にある月を
知らなかった日のこと

その日も一匹の猫が居た
不格好にしっぽを丸め
こちらを見つめていた
やがて、その猫は
様々な色を持ちより
それぞれの色の名前を
親切に教えてくれた

そして今日も
猫は僕の目の前に居て
不格好にしっぽを丸め
笑っている

もう悲しみだけに従う必要は
ないのかもしれない
おそらく、痛みや悲しみも
悦びや幸せも
全ての色を僕は知っている

古びたノートの切れ端に
小さい頃描いた落書きが残っている
不格好にしっぽを丸めた
猫のイラストが笑っている

その落書きは
紛れもなく詩だと思った




  

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